統計検定1級 統計数理 傾向と対策・参考書

1級の統計数理とは?

 統計検定1級の分野は大学の3~4年で学ぶ数理統計学に匹敵すると言われています。理工学から医歯薬学・心理学・経済学など統計以外の学問の理解を深めるために統計を学んでいる人が多いと思います。そういった方は統計検定2級の範囲、つまりt検定や適合度検定といった実用的な項目は学ばれていると思いますが、数理統計学までは学んでいないのではないでしょうか?統計検定1級の数理統計ではそうした検定などの原理の理解が問われます。いわば数学の問題だと思ってください。ですので、応用統計とは別に数理統計の勉強が必要だと考えたほうがよいでしょう。


統計数理分野の傾向

 過去3年で出題された問題を関数別に分けた表です。

一見すると範囲が狭く簡単そうに見えます。それは一理あって、これらの確率分布関数さえ抑えておけば、どの問題でも話の筋は把握できるようになります。しかし、そんなうまい話も今のご時世は転がっていません。どういうことでしょうか?髭剃ってたら坂口健太郎になってたりしないでしょうか。どういうことでしょうか?

2017年のラインアップで考えましょう。

 

関数別 2018 2017 2016
一様分布  
χ²分布  
超幾何分布    
2項分布    
正規分布 〇〇〇
モーメント(正規分布)    
ポアソン分布    
指数分布    
線形モデル    

 

2017年は

  1. モーメント(正規分布
  2. 一様分布
  3. ポアソン分布
  4. 正規分布
  5. χ²分布

となっていますが、各問題の背景としては

  1. 標本平均のモーメントを考えることで、標本平均の分布は正規分布に近づく
  2. 2種類の不偏推定量の分散を比較して、より優良な推定量を考える
  3. ポアソン分布の極限をとるとポアソン分布や正規分布に収束する
  4. 正規分布の条件付き分布とは何か
  5. 正規分布の2乗和がχ²分布となる

となっており、問われている内容は2級と大きく異なった見慣れないものになっていると思います。例えば大門5では確率密度関数を求める際に変数変換でヤコビアンを使います。最尤推定量を求めるには偏微分が必須です。他にも

  • フィッシャー統計量
  • クラメール・ラオの下限
  • ネイマン・ピアソンの基本定理
  • 一様再強力検定

などが頻出です。

数理統計という言葉通り数理計算が不可欠な試験と断言してよいでしょう。

 

数理統計分野の対策・参考書

 まずは出題範囲を把握しましょう。

www.toukei-kentei.jp

 

http://www.toukei-kentei.jp/wp-content/uploads/grade1_hani150508_2.pdf

 

項目は多岐に渡っていますが、最も重要な範囲は確率分布と基本的な統計的推測でしょう。     \いやほとんどやないかーい/

私が使った本共を紹介したいと思います。

 

統計学入門 (基礎統計学?)

統計学入門 (基礎統計学?)

 

 

自然科学の統計学 (基礎統計学)

自然科学の統計学 (基礎統計学)

 

 この2冊は鉄板ではないでしょうか。特に青本と呼ばれる自然科学の統計学は1級で最低限求められる内容を網羅しています。難解な部分も他の書籍よりは少ないため文章に目を走らせやすく、章末問題の解答も巻末に掲載されていて本当にお世話になりました。名著だと思います。一方で統計学入門は基本的な部分が多いですが、どっかの力士も基礎練習が1番大事だなんて言いますし、ヤコビアンや2次元正規分布等の話はこちらの方が詳細に描写されているので大いに役立つと思います。

 

 

 

現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

 

  この本にも非常にお世話になりました。自然科学の統計学の延長の役割で、より高度な内容まで含まれています。内容も興味深い物が多く、この本さえ抑えておけば合格が非常に近づくと思います。章中の例題と章末問題が豊富にあります。解答もネットに落ちていますし、問題の質も本番に近い印象が有ったのでお勧めです。高度な部分も含まれていて、目を走らせるというよりは血眼になって熟読するという表現が相応しいかなと思います。

 

日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学

日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学

  • 作者: 二宮嘉行,大西俊郎,小林景,椎名洋,笛田薫,田中研太郎,岡田謙介,大屋幸輔,廣瀬英雄,折笠秀樹,日本統計学会,竹村彰通,岩崎学
  • 出版社/メーカー: 東京図書
  • 発売日: 2013/04/08
  • メディア: 単行本
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  コンパクトにまとまった本、というのが第1印象です。過去問が少ない&統計検定側が公式で出版している参考書籍はこれしかない事を考えると手元に置きたい1冊です。特に参考になった点は章末の練習問題でしょうか。全部ではない気がしますが、多くは過去問なのではと思います。統計検定の過去問は2年おきに出版されます。従って2015年以降の問題集を入手するのは困難だと思います(大学の図書館に頼んだのですが、絶版で無理といわれました)。ですので貴重な問題でしょう。

 

日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]

日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]

 

  結局はこれです。赤本を解かずに2次試験に挑む者なんて舐め腐ってますよね(僕です)。ピアスの開け方を知らずに開けるなんで無謀ですよね。画鋲で開けようとするなんて考えられません()。先端恐怖症かどうか把握してないとまずいですよね。目薬さしたら失神しました。この試験は時間が厳しいです。それを肌、いや全身で感じてください。

 

まとめ

 努力は必ず報われる(高橋みなみ 1991~)