感度・特異度とかの話(仮)

 現在の日本の医療は西洋医学を主軸としている訳ですが、東洋医学と比較して幾つか特徴があります。例えば西洋医学では風邪を引いた患者にずっと同じ風邪薬が処方されるのに対して、東洋医学では風邪の引き始めやピーク・引き終わりは異なる状態と考えて別の薬を処方されます。その中でも西洋医学の1番の特徴と言えば検査医学でしょう。検査数値を病気の診断に利用します。非常に便利なのですがどうしても誤診は避けられません。永久機関は理論上不可能である事と似てます。

 

 

誤診とは?

 様々な種類のある癌腫瘍の中には、癌細胞に特異的な物質を放出する腫瘍が有ります。この物質は血液中に溶け込みます。つまり、採血検査でその物質の濃度が異常値であれば癌であると診断できます。この物質はマーカーとして働くことから腫瘍マーカーと呼ばれます。

 

 例えばある腫瘍マーカー(マーカーAとします)の血液濃度が0.1mg/ml 以上なら癌と診断する基準を考えます。ここで癌患者と非癌患者合わせて10人の患者に検査を行った時をみてみましょう。

 

罹患or非罹患 マーカーA濃度
罹患者 0.19
罹患者 0.17
非罹患者 0.17
罹患者 0.13
非罹患者 0.12
罹患者 0.09
非罹患者 0.07
非罹患者 0.06
非罹患者 0.04
非罹患者 0.01

 

 前置きとして重要なのは、人には個人差があるので癌患者なのにマーカーA濃度が低かったり、癌患者ではないのにマーカーA濃度がなぜか高い人がどうしても存在します。上の10人の例でも、上から3人目の患者は癌ではないのにマーカーA濃度が0.1mg/ml以上なので、この検査では癌を罹患していると誤診されてしまうのです。

 

感度・特異度とは?

 上の表ではわかりづらいので、2×2のテーブル表にしましょう。

 

    診断   合計
    陽性 陰性  
有(罹患) 3(人) 1(人) 4(人)
  無(非罹患) 2(人) 4(人) 6(人)
合計   5(人) 5(人) 10(人)

 

 がんと診断する基準(カットオフ値といいます)を0.1mg/mlにした場合、表1はこのようにまとめられます。

 

 この診断が使えるかどうかを調べる尺度として最も最適な指標は何でしょう?やはり検出力が知りたいですよね。癌患者の何%がきちんと癌と診断されるのか非癌患者の何%がきちんと陰性として診断されるのかが気になります。これが感度特異度です。

 

    診断  
    陽性 陰性
有(罹患) 真陽性 偽陰性
  無(非罹患) 偽陽性 真陰性

 

 感度 =真陽性/(真陽性+偽陰性)

感度 = 真陽性
(真陽性+偽陰性)

 特異度=真陰性/(真陰性+偽陽性)

特異度 = 真陰性
(真陰性+偽陽性)

 

今回の例で考えてみましょう。感度と特異度はそれぞれ

 

感度 :3/4=0.75

特異度:4/6=0.6666

 

となります。

つまりこの検査では

 

  • 癌患者の75%は陽性と診断される =25%は陰性と誤診される
  • 非癌患者の67%は陰性と診断される=23%は陽性と誤診される

   

だろうと考えられます。これをどう解釈するかは研究者に一任されますが、さすがにこの検査はよくないんじゃないかと考えられます。患者10連ガチャ引いても2.5人は見過ごされますからね。

 

陽性的中度・陰性的中度とは?

 感度と尤度比は説明しました。でも私達は自分が癌であるかどうかなんて知らないし、それを知るために検査を受けています。どちらかというと、陽性と診断された際にどの程度の確率で本当に癌なのか、又は陰性と診断された際にどの程度の確率で本当に癌で無いのかを知りたいと思います。それが陽性的中度陰性的中度です。

ですので

 

陽性的中度=真陽性/(真陽性+偽陽性)

陰性的中度=真陰性/(真陰性+偽陰性)

 

で示されます。今回の例で考えると

 

陽性的中度=3/5=0.6(60%)

陰性的中度=4/5=0.8(80%)

 

 となります。

もしあなたがこの検査を受けると…
 
  • 陽性がでた場合、60%の確率で本当に癌を患っている=40%は実際に癌でない誤診
  • 陰性がでた場合、80%の確率で本当に癌を患っている=20%は実際に癌である誤診

 

ということになるでしょう。

これだけでみると使えませんね笑

 

 

 

※(仮)というのは、付け加えたい図が頭にあったり表に色を付けたかったり数式(分数)を正式な形で表記したい思いが有るのですが、技術力不足で叶えられていないので今後ブログ力をつけたら適時改良編集していきたいと思います。